スキンバンクって何?

スキンバンクとは、お亡くなりになられた方からご提供いただいた皮膚を採取・保存・管理し、熱傷の患者さんのもとへお届けする機関です。火災や爆発事故など、いつ、何時発生するかわからない患者さんへ、いつでも必要な時にすぐに対応できるように、全国の重症熱傷治療施設が加入するネットワークが設立されました。

どのような患者さんに移植されるの?

スキンバンクの皮膚は、次のような事故などでヤケドを負われた方々へ移植されます。

火災

スキンバンクの皮膚の移植を受ける患者さん中で、一番多い受傷理由は火災など炎の事故によるものです。 日本では一般に夏は湿度が高いのですが、冬に湿度が下がるため空気が乾燥し木材などの水分含有量が低下し火が点きやすくなるため火災件数が増加します。また、暖房器具等の火気を使う機会が増加する事により火災につながることもあります。そのため、火事の多い冬にスキンバンクの皮膚も多くご使用される結果となっています。

爆発事故

爆発事故は、工場などで起こる大規模なものから一般家庭で起こるものまで様々です。
爆発では高温度の爆風によりヤケドや、煙やスス、それに含まれる有毒化学物質により、のどの奥や肺へのヤケド(気道熱傷)も起こしやすくなります。

原子力災害

原子力関連施設などでの事故により放射線を浴びた(被曝)場合にもヤケドと同様の症状(放射線皮膚炎)が生じます。
放射線は、細胞を傷つけ死滅させます。ある程度までの被曝であればすぐに身体の症状は出ませんが、一度に放射線を大量に被曝をすると(急性放射線障害)たくさんの細胞が死滅し数週間以内に症状が出ます。
大量に被曝した場合、特に代謝が活発で細胞分裂が盛んな皮膚は影響を受けてしまいます。皮膚は常に新しい細胞を作り出していますが、被爆した場合には、新しい皮膚を作る働きが失われてしまいます。最初は赤みや痛みが起こり、徐々に水ほうや潰瘍が現れ、ヤケドと同様に障害が起きてきます。経過をみて深刻なら皮膚移植などの治療を行います。通常であれば自分の皮膚を移植に使うのが望ましいのですが、全身に被曝し健康な皮膚が少ない場合にはスキンバンクの皮膚を使用します。

「皮膚移植」って何?

ヤケドなどによって皮膚が傷ついた場合に、自身の正常な皮膚、またはご提供いただいた皮膚で覆う治療のことです。

なぜ「皮膚移植」が必要なの?

皮膚は私たちの全身を覆っており、バイ菌の侵入などから体を守る大切な働きをしています。ヤケドなどが原因で皮膚が広範囲に傷つくと、この働きが失われ、重篤な感染症を引き起こし、生命を維持することができなくなってしまいます。
このような場合の救命治療としてご提供いただいた皮膚の移植が必要になります。

いつ提供できるの?

お怪我やご病気でお亡くなりになった方から皮膚のご提供をいただいております。
医学的な理由から、死亡されてから12時間以内に採取する必要があります。ただし感染症や癌など、病気の種類やその時のお身体の状態によってはご提供いただけない場合もあります。

提供した後の体はどうなるの?

ご提供いただける部位は、手術後のお召し物(お着物やお洋服)からは見えない部分となります。
採取する皮膚の厚みは0.3〜0.5mm程度と薄く、採取した部分はおおむね白っぽくつるつるした見た目になります。
採取後は綺麗に覆って手術を完了いたします。

どうやって意思表示するの?

スキンバンク独自の意思登録制度や意思表示カードはございませんが、健康保険証や自動車免許証、マイナンバーカードの裏面に「臓器提供意思表示欄」が付いているものがあります。(公社)日本臓器ネットワークが作成している「臓器提供意思表示カード」もあります。 いずれも下の方に「特記欄」や「その他」という項目とともに自由に記載できる箇所がございます。 皮膚のご提供意思がある場合には。その欄に「皮膚(ひふ・ヒフ)」と記入することができます。 病院・コンビニ・郵便局・役所などに「臓器提供意思表示カード」があります。

健康保険証 自動車免許証 マイナンバーカード etc

オリジナルパンフレット

スキンバンクネットワークオリジナルのパンフレットを作成いたしました。 会員施設には随時設置してまいりますが、お取り寄せなどのご希望がございましたらスキンバンクネットワークへご連絡ください。

オリジナルパンフレット

スキンバンクのプロセス

ご提供

STEP1
病院や日本臓器移植ネットワークより、ドナー情報を受信
STEP2
事務局に常駐するコーディネーターが 提供病院へ向かう。
STEP3
ご家族へ皮膚の提供についての説明を行い、承諾書を作成。
STEP4
承諾の連絡を受け、摘出チームが提供病院へ向かう。
STEP5
所要時間はおよそ2時間から2時間半。
STEP6
後日、ご訪問・ご報告

移植まで

STEP1
ご提供いただいた皮膚は、バンクに搬送され、一時的に保存される(4℃)。
STEP2
その後、組織保存技師により保存作業が行われる。
STEP3
プログラミングフリーザーにて凍結される(-80℃)。
STEP4
保存タンクにて-196℃の液体窒素で保存される。
STEP5
全国の重傷熱傷治療施設へ搬送される
STEP6
広範囲熱傷患者さんへ移植される

Q&A

Q

美容目的でも皮膚移植できますか?

A

ご提供いただいた皮膚は、美容目的などに使われることはありません。
現在は、広範囲にヤケドを負った方の救命のために移植されています。

Q

皮膚提供できる 年齢は何歳までですか?

A

85歳を目安としています。しかしながら皮膚の状態は様々であるため、この限りではありません。

Q

皮膚提供にかかる費用の負担はありますか?

A

皮膚提供にかかる費用の負担は一切ありません。善意による提供なので葬儀の費用や謝礼が支払われることもありません。